やちむんの世界へようこそ!沖縄の伝統工芸品の魅力とは?
※写真はすべて陶芸宮城のものです(インスタグラムでも更新しております。メッセージで直接ご購入も可能です。)
沖縄に行ったら、ぜひ手に入れたいお土産のひとつが、やちむんです。やちむんとは、沖縄でつくられる焼き物の総称で、色とりどりの絵柄や形が特徴的です。沖縄の人々は、やちむんを日常生活の中で使っていますが、それだけでなく、やちむんには深い歴史や文化が込められています。
やちむんは、沖縄の気候や風土に合わせて、工夫されてきました。たとえば、沖縄のお酒である泡盛は、やちむんの甕に入れて熟成させます。甕は、泡盛の香りや味をよくするだけでなく、温度や湿度の変化にも耐えられるように作られています。また、泡盛を飲むときに使う酒器も、やちむんの一種です。酒器には、さまざまな種類がありますが、その中でも泡盛の味を引き出すと言われているのが、ぐすくわという酒器です。ぐすくわは、沖縄の伝統的な家屋の屋根に使われる瓦の形をした酒器で、口が広く、底が平らになっています。ぐすくわで泡盛を飲むと、香りが広がり、味がまろやかになると言われています。
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やちむんは、沖縄のゆいまーるという精神にも通じます。ゆいまーるとは、沖縄のことばで相互扶助の意味で、沖縄の人々は、昔から困ったときはお互いに助け合ってきました。やちむんも、共同制作が多く、一つのやちむんを作るのに、複数の職人が関わっています。たとえば、土づくりや成形をする人、絵付けをする人、窯焚きをする人など、それぞれの工程に専門の職人がいます。やちむんは、職人の技術や心が詰まった、沖縄の宝物です。
この記事では、やちむんの歴史や特徴、豆知識について、詳しくご紹介します。やちむんの世界に、一緒に浸ってみましょう!
やちむんの魅力 沖縄の焼き物文化を知ろう
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沖縄には「やちむん」と呼ばれる美しい焼き物があります。やちむんは沖縄の歴史や文化、風土に深く根ざしたものづくりで、色やかたち、デザインに多彩な個性があります。今回はやちむんの魅力に迫ってみましょう。
やちむんとは 東南アジアとの交流から生まれた焼き物
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やちむんとは、琉球(現在の沖縄)のことばで「焼き物」をあらわします。やちむんの「やち」は「焼き」、「むん」は「物」を意味しています。
やちむんは、かつて琉球王国が東南アジア諸国との交易をしてきた過程で生まれた焼き物です。琉球王国は14世紀から19世紀にかけて、中国や朝鮮半島、日本や南方諸国との間で貿易を行っていました。その際に、さまざまな国の焼き物技術を取り込み、沖縄の風土に合わせて発展させてきました。そのため、やちむんはどこか特定の窯や技法を指すものではなく、多様なデザインや造形のプロダクトがあります。
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やちむんの中でも、沖縄県那覇市壺屋地区を中心に焼かれる「壺屋焼(つぼややき)」は、やちむんを代表するものとして有名です。壺屋焼には大きく分けて「荒焼(あらやち)」と「上焼(じょうやち)」の2種類があります。
「荒焼」は琉球南蛮焼ともいわれ、釉薬をかけずに1,100度前後で焼き締めたもので、陶土の生きた表情が魅力的です。一方で、「上焼」は絵付けや線彫りなどで文様付けし、釉薬をかけて1,200度以上の高温で焼き上げたもので、今日では沖縄の焼き物の主流とされます。
やちむんの色・かたち 沖縄の風土に育まれた個性
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やちむんは、沖縄の風土や人々の暮らしに合わせて様々な用途の形が生まれてきました。特徴的なのが泡盛を飲むためだけにつくられる酒器の数々です。
振るとカラカラと音がなることからその名がついたとも言われ、座りのよい丸い形でじっくりと酒を酌むのにいい「カラカラ」。ひょうたんのような独特の形で、めでたい席で酒をもつのに用いられる「嘉瓶(ゆしびん)」。胴体に紐を通して肩から下げられる携帯用の酒瓶「抱瓶(だちびん)」。沖縄の方言で「急須」を意味し、酒や茶を入れる「チューカー」。貴重な古酒を飲むときに用いられる小さなお猪口などがあります。
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また、沖縄では遺骨を納めるための容器にも、やちむんが用いられてきました。「厨子 甕(ずしがめ)」と呼ばれる骨壺です。かつての沖縄では洗骨といって遺体を墓内や洞窟に数年ほど安置し、その後に骨を洗い、厨子甕に納めて墓の中に安置し供養していたという風習がありました。明治時代以降、沖縄でも火葬が推奨されるようになると、1970年ごろには洗骨の風習はおよそなくなりましたが、厨子甕は今も祖先の骨を納めるのに使われています。
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やちむんの個性を際立たせる要因のひとつが、地域で原料を調達してつくられる独特な釉薬にあります。代表的な釉薬としては「シルグスイ」と「オーグスヤー」の2つがあります。
シルグスイはサンゴを焼いてできる消石灰に籾殻を加えて20時間ほど焼成し、具志頭(ぐしちゃん)白土と白化粧土を加えた透明釉です。シルグスイはやちむんの中でも最も古い釉薬で、琉球王国時代には中国から輸入された白磁に似せてつくられたと言われています。シルグスイはやちむんの素朴な風合いを引き出し、光にかざすと透けるような美しさがあります。
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オーグスヤーはもみ灰に真鍮を混ぜ水を加え、団子状にしたものを1,000度から1,100度で焼成します。そうしてできた「セージモト」に土灰、具志頭白土、透明釉を混ぜてつくる緑色の釉薬です。オーグスヤーは琉球王国時代には中国から輸入された青磁に似せてつくられたと言われています。オーグスヤーはやちむんに深みのある色合いを与え、緑の濃淡によって表情が変わります。
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この他にも、ニービ(砂岩石の一種)とマンガンを主原料とした黒色の釉薬「クルグスイ」、クルグスイをもとにつくられる飴釉薬「アカーグゥー」、サトウキビの灰からできるキビ乳白釉薬「ミーシルー」。明治以降に輸入された酸化コバルトを原材料とした、鮮やかな青の釉薬「コバルト」などもあり、やちむんは、これら釉薬によって鮮やかに彩られ、多彩な絵柄が描かれます。やちむんのデザインには、琉球王国時代から伝わる伝統的なものから、現代の作家たちが創造するオリジナルなものまで、さまざまなものがあります。その中のひとつに「魚紋(文)」があります。
やちむんのデザイン 今も愛される魚紋
魚紋は、やちむんの器面に魚や、エビや貝など沖縄の生き物を描く絵柄です。魚紋は大正から昭和にかけて、沖縄を訪れた県外の実業家たちの多くが、やちむんの焼き物を土産物として求めたときに人気を集めた「古典焼」とも呼ばれるもののひとつです。古典焼は器面全体に絵を描く大胆な構図、エキゾチックな異国模様の壺屋焼で、魚紋はその中でも特に目を引くものでした。
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魚紋は人間国宝の金城次郎も、好んで描いていました。金城次郎は沖縄の焼き物の歴史を研究し、古典焼の技法を復活させるとともに、自らの感性で新しいやちむんを創り出しました。金城次郎が描く魚紋は、線彫(U字に加工した細い針金を使って描く技法)によって器面を掘り進めると、魚や、エビや貝など沖縄の生き物が姿をあらわします。金城次郎が描く魚はまるで笑っているようだと言われ、なんともいえない親しみやすさを感じます。魚紋は今もなおやちむんの定番柄して愛されています。
(私の大好きな作家さん宮城三成さんの工房もここにあります。また三成さんは人間国宝の金城次郎のお孫さんでもあり、ろくろを使わせたら天下一品です。)⇒陶芸宮城のやちむんを観る
やちむんは沖縄の歴史や文化、風土に深く根ざしたものづくりです。色やかたち、デザインに多彩な個性があり、見る人の心をとらえます。やちむんに触れることで、沖縄の焼き物文化を知ることができます。ぜひ、やちむんの魅力にふれてみてください。
沖縄のやちむんの魅力を知ろう!人間国宝から泡盛まで
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沖縄といえば、美しい海や空、独特の文化や食べ物など、魅力的なものがたくさんありますが、その中でもぜひ注目してほしいのが、沖縄の焼き物「やちむん」です。やちむんは、沖縄の方言で「焼き物」という意味で、色鮮やかで個性的なデザインが特徴の陶器です。やちむんは、沖縄の歴史や文化と深く関わっており、日常生活に欠かせないものとして、沖縄の人々に愛されてきました。今回は、そんなやちむんの魅力や歴史について、詳しくご紹介したいと思います。
やちむんの代表者、人間国宝 金城次郎
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やちむんの中でも、特に有名なのが、人間国宝に認定された陶工の金城次郎さんです。金城次郎さんは、沖縄の伝統的な技法を受け継ぎながら、素朴で力強い日用雑器を作り続けました。金城次郎さんの作品の特徴は、やちむんの定番の図柄である「魚紋」です。魚紋とは、魚の鱗のような模様で、線彫りや掻き落としという技法で表現されます。魚紋は、沖縄の海に住む魚の豊かさや、海に囲まれた島の暮らしを象徴しています。
金城次郎さんは、戦前に民藝運動の指導者たちと交流し、その影響を受けました。民藝運動とは、日本の伝統的な工芸品や民芸品を再評価し、普及させようという運動です。金城次郎さんは、民藝運動の理念に共感し、自分の作品を展示したり、新しい作品を創作したりしました。金城次郎さんは、民藝運動の中でも、沖縄のやちむんの代表者として、高い評価を得ました。
第二次世界大戦後、沖縄では公害対策のために、登り窯の使用が禁止されました。登り窯とは、斜面に沿って作られた窯で、やちむんの伝統的な焼き方です。登り窯の使用が禁止されたことで、やちむんは存続の危機に直面しました。しかし、金城次郎さんは、登り窯を使える環境を求めて、読谷村に移住しました。そして、多くの陶工たちを誘って、読谷村に「やちむんの里」を作りました。やちむんの里は、共同の登り窯がいくつも築かれた場所で、やちむんの伝統を守りながら、新しい作品を生み出す拠点となりました。現在でも、やちむんの里には、数十軒の窯元が集まっており、やちむんの聖地として親しまれています。
金城次郎さんは、沖縄のやちむんの歴史を切り開き、やちむんの魅力を全国に広めた人物として、今もなお尊敬されています。
やちむんと泡盛の相性抜群!荒焼の甕が古酒を作る秘訣
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沖縄のお酒といえば、「泡盛」です。泡盛は、米や黒糖を原料とした蒸留酒で、沖縄の気候や風土に合わせて作られたお酒です。泡盛は、そのまま飲むと個性の強いお酒ですが、時間をかけて熟成させると、「古酒」と呼ばれる、甘くまろやかなお酒に変わります。古酒は、デザートのような味わいで、沖縄の人々に愛されています。
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そんな泡盛を古酒にするのに欠かせないのが、やちむんの「荒焼」です。荒焼とは、釉薬を塗らずにじっくりと焼き締められたやちむんで、甕や壺などの大きな器が多く作られています。荒焼の甕には、ミネラル分が豊富に含まれており、これが泡盛の化学変化を促進させて、古酒化を早めるのです。また、荒焼の甕には、空気が適度に通るので、泡盛の味が酸化によって変化していきます。沖縄県工業技術センターの調査によると、荒焼の甕で寝かした泡盛は、ステンレス容器やガラス瓶で寝かしたものに比べて、古酒化が1.5倍早まったというデータがあります。
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泡盛を寝かせる荒焼の甕は、黒く焼き上がっていて、表面に凹凸がなく、傷が入っていないものがいいとされています。しかし、実際には、泡盛を入れてみないと、どんな味になるかは分かりません。甕の形や大きさ、焼き方などによって、泡盛の味は変わってくるからです。中には、好きな窯元を訪ねて、自分の好みの甕を探す人もいます。泡盛を美味しくするのに、やちむんはそれほど欠かせないものなのです。
やちむんの歴史をたどろう!琉球王国から現代まで
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やちむんは、沖縄の歴史とともに歩んできた焼き物です。やちむんの歴史をたどることで、沖縄の文化や社会の変遷も見えてきます。ここでは、やちむんの歴史の大きな流れを紹介します。
琉球王国の焼き物、誕生
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沖縄の焼き物は「やちむん」と呼ばれ、その歴史は400年以上にも及びます。 その始まりは、琉球王国が中国や東南アジアの国々と貿易を行っていた時代にさかのぼります。 14世紀後半から、琉球は多くの陶器を輸入し、その影響を受けながら独自の焼き物文化を築いていきました。
琉球の焼き物生産の転機となったのは、1609年に薩摩藩によって支配されたことでした。 1616年には、薩摩から招聘された朝鮮人陶工が那覇の湧田村で製陶技法を伝え、沖縄初の焼き物が作られました。 これは無釉・低温焼成の焼き物で、「アラヤチ」と呼ばれました。 その後、紋様や絵付けを施して釉薬をかける「ジョウヤチ」が成立し、琉球王国の時代にはさまざまな種類の焼き物が生まれました。
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1682年には、琉球政府は各地に点在していた窯場を那覇の壺屋に集め、壺屋焼と呼ばれる焼き物が誕生しました。 壺屋焼は沖縄で採れる土と伝統的な釉薬や技法を使って作られ、荒焼・上焼・アカムヌーの3種類に分けられます。 荒焼は貯蔵用の壺や甕、上焼は食器や日用雑器、アカムヌーは火にかけるものなどが作られました。 壺屋焼は琉球王国の貴族や士族の宴席や儀式にも使われ、琉球の文化や歴史を物語る重要な遺産となりました。
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壺屋焼は現在も沖縄の伝統工芸品として愛されています。 壺屋やちむん通りには、多くの窯元や陶器店が並び、壺屋焼のほかにも沖縄で活躍する陶芸家の作品を見ることができます。 また、壺屋焼の体験教室もあり、自分だけのやちむんを作ることもできます。 壺屋焼は沖縄の自然や風土、歴史や文化を表現する素朴で美しい焼き物です。 ぜひ、沖縄旅行の際には壺屋焼に触れてみてください。